「BELS評価書を取得しているから、住宅ローン控除の省エネ性能証明にも使えるはず」
そう考えている建築主や住宅事業者、設計者は少なくありません。BELSは第三者機関が建築物の省エネ性能を評価する制度ですから、住宅の省エネ性能を証明する書類として十分なように思えます。国土交通省もBELSを、省エネ性能表示制度における第三者評価として位置付けています。
ところが、
住宅ローン控除の申請ではBELS評価書をそのまま省エネ性能の証明書として使用することはできません。
国土交通省が2026年7月に公表している「住宅ローン減税(令和8年度税制改正後)Q&A」でも、「BELSやフラット35の適合証明書は使用できない」と明記され、必要な書類として建設住宅性能評価書または住宅省エネルギー性能証明書が示されています。
BELSを取得しているから安心、ではないのです。
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なぜBELS評価書があるのに住宅ローン控除には使えないのか
まず理解しておきたいのが、BELS評価書と住宅ローン控除用の証明書は「目的が違う」ということです。
BELSは、建物のエネルギー消費性能や断熱性能などを評価し、その性能を分かりやすく表示するための第三者評価です。現在の省エネ性能表示制度では、第三者評価を取得していること自体を表示でき、住宅購入者などが建物の省エネ性能を判断する材料として活用されています。
一方、住宅ローン控除では税制上定められた方法によって、「省エネ基準適合住宅」や「ZEH水準省エネ住宅」に該当することを証明しなければなりません。
つまり、BELS評価によって十分な省エネ性能が確認されていたとしても、「性能が確認できること」と「住宅ローン控除で提出できる証明書であること」は別問題というわけです。
ここを混同すると、建物が完成してから「住宅ローン控除用の証明書がない」という事態になりかねません。
住宅ローン控除で必要になる省エネ性能の証明書
2026年時点では、住宅の性能区分によって提出できる書類が異なります。
| 住宅の区分 | 主な性能基準 | 住宅ローン控除で使用できる省エネ性能の証明 |
|---|---|---|
| 省エネ基準適合住宅 | 断熱等性能等級4以上+一次エネルギー消費量等級4以上 | 建設住宅性能評価書の写し、住宅省エネルギー性能証明書、一定の場合の検査済証の写し |
| ZEH水準省エネ住宅 | 断熱等性能等級5以上+一次エネルギー消費量等級6以上 | 建設住宅性能評価書の写し、住宅省エネルギー性能証明書 |
| BELS評価書 | BELSで評価された省エネ性能 | そのままでは住宅ローン控除用の証明書として使用不可 |
国土交通省によれば、省エネ基準適合住宅については、断熱等性能等級4以上かつ一次エネルギー消費量等級4以上が基準です。一方、ZEH水準省エネ住宅は断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6以上が求められます。
特に2025年4月1日以降に建築確認を受けた住宅については、省エネ基準適合住宅として住宅ローン控除を受ける場合、その日以降に建築確認を受けたことが分かる検査済証の写しで証明できるケースもあります。 これは2025年4月から原則すべての新築住宅等に省エネ基準適合が義務化されたことを踏まえた取扱いです。
ただし、検査済証だけでZEH水準まで証明できるわけではありません。ZEH水準として控除を受ける場合には、建設住宅性能評価書または住宅省エネルギー性能証明書が必要になります。
「設計住宅性能評価書」でもダメなので注意
もう一つ間違えやすいのが、「住宅性能評価書なら何でもよい」と考えてしまうケースです。
住宅性能評価には、大きく「設計住宅性能評価書」と「建設住宅性能評価書」があります。
設計住宅性能評価書は設計段階の図書を評価したものですが、建設住宅性能評価書は施工段階・完成段階の検査を経て交付されるものです。
住宅ローン控除の省エネ性能証明として使用できるのは、原則として**「建設住宅性能評価書」**です。さらに、断熱等性能等級と一次エネルギー消費量等級の両方について、必要な等級を取得していることが求められます。
| 書類 | 住宅ローン控除の省エネ性能証明 |
|---|---|
| BELS評価書 | × |
| フラット35適合証明書 | × |
| 設計住宅性能評価書 | × |
| 建設住宅性能評価書 | ○ ※必要な等級を満たすもの |
| 住宅省エネルギー性能証明書 | ○ |
| 一定の検査済証 | ○ ※省エネ基準適合住宅の場合 |
似た名称の書類が多いため、「性能評価を取ったから大丈夫」と判断せず、最終的に税務署へ提出できる書類が何なのかまで確認しておくことが重要です。
住宅省エネルギー性能証明書とは?
住宅ローン控除を目的として省エネ性能だけを証明したい場合、非常に重要になるのが「住宅省エネルギー性能証明書」です。
これは住宅が「省エネ基準適合住宅」または「ZEH水準省エネ住宅」に該当することを証明するための書類です。建設住宅性能評価のように住宅性能を幅広く評価するのではなく、省エネ性能を証明することに特化しています。
証明書の発行を依頼できる者についても国土交通省が定めています。
| 発行を依頼できる者・機関 | 発行可否 |
|---|---|
| 登録された建築士事務所に所属する建築士 | ○ |
| 登録住宅性能評価機関 | ○ |
| 指定確認検査機関 | ○ |
| 住宅瑕疵担保責任保険法人 | ○ |
対象住宅を設計した建築士自身が住宅省エネルギー性能証明書を発行することも認められています。
なお、2026年1月1日以降に居住を開始する住宅については住宅省エネルギー性能証明書の様式が変更されています。ただし、旧様式ですでに発行された証明書についても引き続き有効とされています。
住宅省エネルギー性能証明書はいつ取得する?
ここは設計者や住宅事業者に特に注意してほしいところです。
住宅省エネルギー性能証明書は、「確定申告の直前になってから作ればいい」という書類ではありません。証明書を発行するためには、その住宅が必要な省エネ性能を満たしていることを確認するための調査が必要だからです。
国土交通省の2026年版Q&Aでは、新築住宅の場合、原則として証明に必要な家屋の調査を家屋の取得日前に完了させる必要があるとされています。入居時期などによって経過措置も設定されていますが、基本的には完成・引渡し直前になって慌てて準備するのではなく、設計・施工段階から証明方法を決めておくべき書類です。
注文住宅であれば建築主等、分譲住宅であれば引渡し前の調査が必要となることから売主等が申請することが想定されています。
BELSを取ったから終わり、ではなく「何に使う証明書か」を確認する
今回のポイントを整理すると非常にシンプルです。
BELS評価書は住宅の省エネ性能を第三者が評価する重要な書類ですが、住宅ローン控除の省エネ性能証明書として、そのまま税務署に提出することはできません。 国土交通省も2026年版Q&Aでこの点を明確にしています。
住宅ローン控除を想定しているのであれば、住宅の性能や取得時期に応じて、建設住宅性能評価書、住宅省エネルギー性能証明書、一定の場合には検査済証など、制度上認められた書類をあらかじめ準備しておくことが重要です。
2026年度税制改正では住宅ローン減税の適用期限が5年間延長され、2026年1月1日から2030年12月31日までの入居が新たな適用期間となりました。今後も省エネ性能の高い住宅ほど税制上重要になる方向性は明確です。
だからこそ設計段階で、「BELSを取得するのか」「住宅性能評価まで取得するのか」「住宅省エネルギー性能証明書を発行するのか」を整理しておくことが、引渡し後の手戻りを防ぐポイントになります。
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