自社で省エネ計算に取り組むことは、建物の性能を自分たちの手でしっかり把握できるので、より安心してお客様へ提案でき、説明の説得力もぐんと高まります。
発注者との打合せ中にその場で性能を確認できるなど、対応力もアップします。
また、社内に知識がたまっていけば、「省エネに強い設計事務所」として信頼も高まります。自社で計算できるようになることは、仕事の幅を広げ、会社の魅力を底上げする大きな一歩です。
まずは計算を行うソフトや事前準備を行いましょう。
主な計算ソフト一覧と特徴
※ソフト名クリックで製品ページへリンクします
| ソフト名 | 主な対象 | 有料 / 無料 | おすすめポイント | 備考 |
| 住宅・住戸の外皮性能計算プログラム / 住宅のエネルギー消費性能計算プログラム | 住宅 | 無料 | 公的基準に完全準拠。最新の制度に対応しやすい。審査側も前提として理解している。 | UIが素朴で操作に慣れが必要。説明資料の自動出力は限定的。 |
| WEBプログラム | 住宅・非住宅 | 無料 | Webブラウザで利用可能。制度改正への追随が早い。 | 詳細な意匠・設備連携やプレゼン用途にはやや不向き。 |
| YKK AP住宅省エネ性能計算ソフト | 戸建住宅 | 会員登録で実質無料 | サッシ・開口部まわりの入力が楽。申請書と説明資料の自動生成。 | YKK製品前提のUIが多く、他メーカー混在時は調整が必要。 |
| LIXIL省エネ住宅シミュレーション | 戸建住宅 | 登録制で無料利用可 | 断熱材・設備を選ぶだけで省エネ性能を一括判定。説明義務対応資料・提案書の自動作成。 | LIXIL製品を前提とした仕様が中心。細かいカスタムには別途工夫が必要。 |
| HOUSE-省エネ | 住宅(届出~適判) | 有償 105,600円~ | 外皮性能と一次エネ計算を一元管理。届出書類の作成や設計案比較がしやすい。 | 導入コストと操作習得の手間が多少かかる。 |
| M-draw | 住宅・非住宅 | 有償 220,000円~ | BELS、省エネ適判に対応。CADデータ・PDF取り込み、面積図や根拠図を自動作成。 | 高機能ゆえに運用ルールを整えないと宝の持ち腐れになる。 |
| A-repo4 | 住宅・非住宅 | 有償 198,000円~ | 省エネ計算~公式書類作成を効率化。直感的な操作性と他ソフト連携。 | 事務所の規模によってはオーバースペックになる場合も。 |
| Energy ZOO | 住宅(温熱シミュレーション) | 有償 サブスク 16,500円/月 | 室温・暖冷房負荷・エネルギー消費量・光熱費のシミュレーションが可能。リフォーム提案にも有効。 | 申請書類作成そのものは、別途公的ソフトとの併用が必要なケースあり。 |
| BEST省エネ基準対応ツール | 主に非住宅 | 有償利用が一般的 | 建築物省エネ法に基づく詳細な一次エネ計算を高度に行える。 | 高度な知識と習熟が必要で、小規模住宅主体の事務所には向かない場合がある。 |
計算ソフトを揃い、ある程度実務を行ったうえで注意しなければいけない点があります。
それは、意図しないトラブルです。
自社で省エネ計算を行うときのトラブル事例
最後に、実際に公開されている事例・制度文書に基づき、「自社で省エネ計算を行った場合に起こり得るトラブル」を5つ挙げます。これらは実際に起こったトラブルになりますので予めポイントを押させておきましょう。
ケース1,省エネ法は適合したが、建築基準法で不適合に
省エネ基準を満たすために開口部を減らした結果、排煙面積が不足して建築基準法不適合となったり、太陽光パネルを増設したものの構造検討を失念して後から大きな修正が必要になったケースが紹介されています。
原因と対策
•省エネ計算の数値だけを追いかけると、他法令とのトレードオフに気づきにくい
•省エネ担当と意匠・構造の連携を密にし、「変更チェックリスト」を共通で運用することが重要
ケース2,入力ミス・書類不備により、審査機関から差し戻し連発
外皮計算・省エネ計算の窓口では、
・断熱材の厚さ・性能値が図面と計算書で異なる
・開口部面積の入力ミス
・カタログや仕様書の不足
といった入力データの誤り・添付資料不足によるトラブルが頻発していることが報告されています。
対策
•提出前のダブルチェック体制
•図面・仕様・カタログ・計算書を紐づけるチェックリストの整備
•「誰が・いつ・何を」確認したかの記録(トレーサビリティ)
ケース3,計算方法が制度要件と合っておらず、すべてやり直しに
省エネ計算を自社で行って提出したものの、計算方法が省エネ法の制度要件と全く違っていたため、申請をやり直しになったケースが、省エネ適判対応機関の事例として紹介されています。
対策
•「どのバージョンの基準・プログラムで計算したか」を常に明示し、アップデート情報を追う
•初めて扱う用途・規模の建物は、外部専門家に一度レビューしてもらう
•社内マニュアルに「基準・告示・プログラムの参照先とバージョン」を明記
ケース4,省エネ性能を過大に申請し、賠償リスクに発展
建築士向け賠償責任補償制度の想定事例として、「省エネ性能の計算を誤り、実際より高い省エネ性能で届出・説明してしまった」
というケースが挙げられています。
•施主からの損害賠償請求
•補助金・税制優遇の返還
•設計事務所の信用失墜
といったリスクがあります。
対策
•性能値は「ギリギリで攻める」より、余裕を持った計画にする
•計算根拠と図面・仕様書をセットで保管し、説明責任を果たせるようにしておく
•計算を請け負うときに賠償責任問題に発展した際の覚書や契約書を作成する
ケース5,補助金・支援事業の申請で重大な誤り → 交付取消・返還
省エネ住宅関連補助金や先導事業等では、
•誤った性能証明書・計算結果による申請
•不適切な申請(改ざん・性能値の偽装など)
が判明した場合、交付決定の取消・補助金返還・場合によっては刑事罰の対象になりうることが、公式に注意喚起されています。
対策
•自社で計算した結果をそのまま補助金に使う場合、第三者チェックを挟む
•施主や施工者との間で「補助金額は確定ではなく、審査結果次第で変動し得る」ことを事前に説明
まとめ
いかがでしたか。自社で省エネ計算を行う際には、事前に注意することでリスクを回避することができます。また、自社で省エネ計算を行う際は、木造戸建住宅からはじめるのが良いでしょう。まずはチャレンジしてみてください!
もし、省エネ計算などを外注する際には私たちのような専門で行っている事業者にお任せください。
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最後までお読みいただきありがとうございました。


